企業研修

リスクマネジメントは特定のリスクマネジャーが企業に関わるリスクの全てに対応する取組みではありません。会社の理念やビジョンを達成するために、それらを阻害する要因であるリスクに対して全社的に向き合っていく取組です。
しかしながら、リスクは未来に発生するものであり、100%の予測は難しいため、一人ひとりがリスク感性を磨いて将来のリスクの芽を摘み取っていくことが大切であり、それらを具体的に実践するために社内のルールが作られます。そして、それらのルールが守られる前提は全社的な周知徹底とそれらを実践するに必要な知識や経験値を積み上げていく事に他なりません。
ここでは、リスクマネジメントを全社的に実践していくために必要となる社内の教育・研修について説明をしていきます。

リスクマネジメント教育・研修の5つのテーマと内容

  1. 重要性・必要性の認識共有
    リスクマネジメントの必要性・重要性を全社的に理解する事が必要です。
    ⇒「一般社員向け研修」では、RMの重要性・必要性を様々な具体的例を交えて説明します
  2. 知識と感性の習得
    リスクをリスクと認識するためにはリスクに関する知識とリスク感性が必要です。
    ⇒リスクを5つの構成要素に分解してメカニズムを理解することでリスク感性を高めます
  3. 自社のリスク環境の共有
    現在のリスク環境を全社的に理解することが必要性認識にも繋がります。
    ⇒リスクアセスメント結果やリスクマトリクス等を用いて正しく会社のリスク環境を共有します
  4. 自社ルール及び計画の共有
    リスクマネジメントルールを策定し、明確な目標に基づいてリスク管理計画を作成します。
    ⇒演習を用いた研修を行う事によって大まかなルールや計画を作成する事も可能です
  5. リスクマネジャーの養成
    リスクマネジメントを推進するためには全体に対して責任を持つ専門家が必要不可欠です。
    ⇒リスクマネジメントに精通した専門家を養うために演習を通して実務経験を積んで頂きます

リスクマネジメント基礎

リスクマネジメント研修は受ける人の知識や能力水準に応じた内容を検討する必要が あります。この「リスクマネジメント基礎」の研修はリスクマネジメントに取り組む企業がその活動をスタートするにあたって全員に共通の認識と最低限の知識を持って頂くための研修と考えて頂ければと思います。初めてリスクマネジメントを勉強する方や新入社員向けの研修としても最適です。

1. 知識編

リスクマネジメント基礎研修(知識編)では、リスクの定義から企業にとってのリスクマネジメントの必要性等の基本的な導入知識を中心に勉強します。体系的に経営とリスクマネジメントの目的とをリンクさせ、従来のマイナスイメージではなく、将来ビジョンや目標達成のための能動的な取り組みであることを認識して頂きます。

【内 容】
  • 1)ISO31000による「リスク」や「リスクマネジメント」の定義と「リスク」の特徴及びRMに取り組む際の留意点について説明します。
  • 2)リスクマネジメントの必要性や重要性を雇用環境や経営環境、法律改定等の社会的な背景やステークホルダの視点から説明します。
  • 3)正しいリスクマネジメント活動の前提は正しい経営の在り方や会社としての社会的責任及び、ステークホルダとの関わりを認識することです。
  • 4)リスクマネジメント活動に100%の答えはありません。組織の中でリスクに対する考え方を共有し、決断していくプロセスであることを理解して頂きます。
リスクマネジメント基礎
2. 実践編

リスクマネジメント基礎研修(実践編)では、知識編での基礎的な認識に基づいて、実際にどのようにしてリスクマネジメントに取り組んでいくのかという実践内容を手順に基づいて説明していきます。ISO31000の流れに基づいて主にリスクマネジメントプロセスの内容について説明を進めていきます。短い時間の中で大きなリスクマネジメント活動の流れを理解し、実践に役立てます。

【内 容】
  • 1)イントロダクションでは、今回の研修の目的として、受講者が実務を行う上で必要なプロセスや手法を・考え方を習得する必要性について説明します。
  • 2)リスクマネジメントを全社的に推進するために必要となる枠組みについて理解し、具体的な体制構築の手順について理解します。
  • 3)リスクを構成する5つの要素(「リスク源」「原因」「事象」「影響領域」「結果」)を理解し、リスクシナリオを描く事で損失発生のメカニズムを理解します。
  • 4)リスク基準の設定の仕方やリスクアセスメント(リスク特定・分析・評価)の考え方や手順及びポイントについて説明します。
  • 5)リスク対応策の全体像から「リスクコントロール対策」「リスクファイナンシング対策」についての基礎的な内容について説明します。
リスクマネジメント基礎

リスクマネジメント実務者研修

リスクマネジメント実務者研修は各部門等においてリスクアセスメントやリスク対策の実施及びモニタリング及びレビュー等を行う際の実施責任者向けの研修となっています。
一般的にはその部門の部門長が実施責任者となるケースが多いですが、組織の大きさによっては社長や役員、課長や係長がその役割を果たす場合もあるかと思います。いずれにしても、現場における実務のフォローを行う必要性からリスクマネジメントプロセスに関する幅広い知識が必要になってくるため、半日~1日かけて研修を行い、個人演習などで自分の手を動かしながらリスクアセスメントの手順を理解して頂くことが必要です。

【内 容】
  • 1)リスクマネジメントの基礎知識から重要性・必要性を認識して頂き、会社経営の在り方や原理原則に基づいた経営について詳しく説明します。
  • 2)リスクマネジメントプロセスについてリスク基準の設定からリスクアセスメントの手順及び手法を学び、リスク対策の種類や選択基準まで幅広く学びます。
  • 3)リスクマネジメントプロセスの手順に沿って、自社をモデルにした個人演習を行って頂き、実際に手を動かしてリスクアセスメントをやって頂きます。
リスクマネジメント実務者研修

役員・取締役研修

ERM研修は全社的なリスクマネジメントの責任を負う、経営者や役員等の取締役の方々や監査役の方を中心とした研修となっています。ERMは「エンタープライズドリスクマネジメント」言われ、統合リスク管理とも言われますが、従来の部分正解的なリスク管理ではなく、近年においては会社を取り巻くリスクを一元的に管理することが求められています。

【内 容】
  • 1)経営陣がリスクマネジメントの必要性を認識するところからスタートします。リスクマネジメントはトップダウンでなければ進まないことをまず理解して頂きます。
  • 2)コーポレートガバナンスの視点から株主重視経営の重要性を認識して頂くと共に、株主の経営上の立ち位置と権限についてしっかりと理解して頂きます。
  • 3)経営層の方々に、リスクマネジメントに取り組むことが出来る会社全体の枠組みを構築し、管理責任を果たすことの重要性を認識して頂きます。
  • 4)適切なリスクマネジメント活動を推進するために、全社共通のリスクマネジメント規程とリスク管理計画を作成し、PDCAを回す事の必要性を認識して頂きます。
  • 5)全社的リスクマネジメントを実践するためには、社内へのルールや計画の浸透、各組織及び個々人の役割分担と責任体制が必要であることを認識して頂きます。
ERM研修

リスク管理責任者研修

各部門におけるリスク管理責任者向けの研修であり、会社の規模特性によりますが、何人かのリスクマネジメント実施責任者を束ねている部長や工場長等がこの立ち位置に就くことが多いと考えられます。リスク管理責任者については直接リスクアセスメントやリスク対策等を実施する訳ではありませんが、自分の部門だけではなく、他部門から上がってきた情報に基づいて協議チーム等に参加し、全社的なリスクアセスメント及び対策検討を行い、リスクマネジメント計画の策定にも関わるため、全社的な視点が求められます。

【内 容】
  • 1)リスク管理責任者は部門からの情報に基づいて、協議チーム等で全社的なアセスメントや計画の策定に関わるため、全社的なリスク管理体制について理解します。
  • 2)リスクの構成要素について理解を深め、リスクアセスメントの手順や方法について深く理解すると共にリスク対策の種類や対策実施の留意点を学びます。
  • 3)各部門のリスク対策計画を立て、それらを現場に周知徹底すると共に、責任者等を任命して計画通りに対策を実施させるために必要なプロセスを学びます。
  • 4)リスク対策の実施状況及びその効果についてモニタリング及びレビューを行い、必要に応じて目標の修正や活動自体の変更を行うために必要な知識を習得します。
  • 5)リスク管理責任者は多くの情報を整理し、協議チーム等で議論を行うことでアセスメントや対策の決断をしていきますが、それらをグループ演習の中で習得します。
リスク管理責任者研修

リスク管理専門職(リスクマネジャー・CRO)研修

全社的リスクマネジメントを実践していくためには、幅広く全社的な視点からリスクマネジメントの実施状況を把握し、リスク管理規程や計画の策定や承認を行い、必要に応じて現場のリスク管理業務の支援が出来るリスクマネジャーやCROの存在が必要不可欠です。
会社の規模・特性によりますが、中小企業の場合は専門部署を作ることは難しいと思いますので、少なくとも専門人員を一人置くか、外部リスクマネジャーを採用することをお勧めします。

【内 容】
  • 1)リスクマネジメント活動の核となるISO31000の内容及び手順、正しい会社の在り方やリスクマネジメントの進め方について深く理解します。
  • 2)全社的なリスクマネジメントを推進できる組織体制(リスク管理規程や必要な予算や経営資源、コミュニケ―ションの仕組み等)について理解します。
  • 3)リスクマネジメントプロセスをリスク基準の設定から行い、リスクの構成要素を深く理解する事でリスクアセスメントの手順や考え方を学びます。
  • 4)具体的なリスク対策手法としてリスクコントロール対策及びリスクファイナンシング対策の考え方を深く理解し、対策検討に必要な知識を身に付けます。
  • 5)上記のリスクマネジメントの実践に関わる手順について個人及びグループ演習を用いて実際に体験して頂く事で、実務能力を養います。
リスク管理専門職(マネジャー・CRO)研修

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